2014年 09月 07日
日本移住の機会を探してます♫ |
友だちのオリヴィエのお話しです。
初めて彼と会ったのは今から17年前のパリ、彼が病院の救急看護師をしていたころです。
当時フランス語がまるで分からなくお互い片言の英語でコミュニケーションを取るしか方法がなかったのですが、不思議なもので何となく「気が合いそうだな」とお互い感じたのかもしれません。
ほどなく看護師を辞め、それまで貯めたお金でフランスの西の端ブロターニュ地方の人里離れた山奥に土地を買って移り住むと聞いた時は驚きましたが、合気道が趣味の穏やかな彼の性格からパリよりも田舎を選んだのも理解できました。
翌年友人らと彼から教えてもらった住所を訪ねると山奥の一本道の突き当たり。
そこには半分以上が壊れ壁と暖炉と屋根が半分残された、とても人が住んでいると思えない、見渡す限りが森の中にある一軒のボロボロの家があるだけです。
わたし達を中に招き入れ「ここにをサロンにしてシャワーとトイレはあそこ、2階へ登る階段はあっちに付けるんだ」と目を輝かせて熱く語るオリヴィエを見て「大丈夫かなぁ?」と思ったのも事実です。
ブロターニュに来てから始めたというバグパイプの爆音に朝起こされ、昼は森の中を30分くらい歩いたところにあるレストランでクレープを食べ、夜はクルマで近くの学校で催されるケルト音楽のコンサートで村の人たちと手をつなぎ輪になり踊り、楽しい思い出がたくさんできました。
また翌年来る約束をし東京へと帰りましたがそれからもたまに連絡を取り合い、彼が地元の大工さんと友達になり2人で家を造り始めたことも知っていました。
翌年ふただびブロターニュを訪ねると、なんと外装も内装もまったくの新築のようでサロンもシャワーも2階への階段も去年オリヴィエが言ってた通りに造り直されているピカピカの家に!
恋人もでき、大工の仕事を本格的に始めたオリヴィエはとても幸せそうに見え、「自分で造った家で恋人と末長く暮らしていくんだろうなぁ」と勝手に思ったものです。
結局その家には3〜4年住んだでしょうか、良い値がついたのでアッサリ売ってしまい、また古い家を買いなおし住みながら修理を始めます。
その修理も終わり2軒目の家に2〜3年住んだところで恋人が仕事で転勤となり、その家も良い値段で売れ夢の土地ブロターニュから今度は東の端ブゾンソン(Besançon)に彼女と一緒にアッサリ引っ越します。
ほどなく外国人にフランス語を教える職に着きブゾンソンに住み始めて5年目のこの春、一回り大きなアパートに引っ越しました。
模様替えのため壁を打ち抜こうとすると、壁に見えたその一画が依然棚として使われていたのを板で塞いだものだったそうです。
棚には本や古いブリキの戦車のおもちゃ、1934年のスタンプが押された絵葉書などが当時のまま残っています。
絵葉書には甥の赤ちゃんダニエルの成長を気にかける叔母さんの気持ちがしたためられており、捨てるのは偲びなく袋にひとまとめにしていたそうです。
7月にオリヴィエの部屋のベルが鳴り出ると一人の老人が立っていました。
ブゾンソンから引っ越して何十年ぶりかに初めて訪れる機会にめぐまれ、懐かしくてつい自分が育った家のベルを鳴らしてしまったといいます。
オリヴィエが捨てずに取っておいた袋を見せると、自分が小さいころ遊んだ戦車のおもちゃと自分の成長を気にかける叔母さんが母親に送った葉書を見つけ、彼の目が涙であふれたそうです。
今年の夏オリヴィエからこの話を聞き「映画みたいな話し、本当にあるんだねぇ! 」とミミとみんなで盛り上がりました♡
オリヴィエは9月の終わりにダニエルさんと夕飯をご一緒する約束をして別れたそうです。
ちなみにあんなに練習していたバグパイプですが、アッサリやめました。
良い日曜日を!
Bon dimanche !
by cafemimi
| 2014-09-07 09:52
| 思い出
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